年俸制や固定残業代制の罠

デフレ不況になってからは年俸制や固定残業代制をとる企業が増えました。しかし、その狙いは「定額働かせ放題」です。

クリエイターや学者などの特殊な職種でなければ、ふつうのサラリーマンに年俸制や固定残業代制を適用する理由は他にありません。

年俸制というとプロスポーツ選手の報酬イメージが強いためか、一度決まった金額が年収の上限と思いがちです(そこが会社の狙いです)。

しかしサラリーマンにとっての年俸制は、年収を月ごとに分割して受け取るだけのことです。

これは労働基準法に「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と定められているためです。

プロスポーツ選手と違って雇用されて働く労働者は、年俸制でも法定労働時間を超えて働いた分は残業代が発生します。

同じように、固定残業代制も設定された「みなし残業時間」を超えて働いた分は新たに残業代が発生します。

日本の企業はこうした説明を意図的にしないまま、労働者に年俸制や固定残業代制を強制していることが多いようです。

私の知っているある会社も年俸制ですが、そこは夏場に行った仕事のデータを役所へ納品するため冬場が大忙しです。

あるとき社員の方に「残業代だけでもすごい金額になりますね」と言ったら、「いや、ウチは年俸制ですから残業代は出ません」と言われたことがあります。

年俸制だろうが固定残業代制だろうが、それ以上働いた分は残業代が発生することをお忘れなく!