原則的に、ほぼすべての事業所・会社は雇用保険に加入しなければなりません。しかし、実際には会社や経営者が雇用保険に加入していなかったり、掛け金を納めていないことがあります。
私は未払い賃金の支払いを求めて会社と裁判していたとき、しばらくコンビニで夜勤のアルバイトをしていたことがありました。しかし最初の給与明細を見ると雇用保険料が引かれていないので、オーナーに雇用保険に加入するよう求めました。
一年ほどしてコンビニのバイトは辞めましたが、2週間過ぎても離職票が送られてきません。辞めるときにオーナーとトラブルになったため直接ハローワークで確認すると、なんとオーナーが雇用保険料を納めていないことがわかりました。
自己負担分の雇用保険料を天引きされていたことは証明できたので失業手当は受給出来ましたが、もし天引きされていなければ、あとから保険料をまとめて納付することになったでしょう。
雇用保険料は過去2年分しか追納できないので、長く勤めていた人ほど失業手当の受給日数で大きな不利益を被ることがあります。
自己都合や定年退職で辞めた場合、雇用保険の加入期間と受給期間は年齢に関係なく以下のようになります。
- 1年以上10年未満は90日
- 10年以上20年未満は120日
- 20年以上は150日
会社都合で退職した人は「特定受給資格者」となり、自己都合や定年退職よりも失業手当の受給日数が優遇されます。
たとえば45歳以上60歳未満の特定受給資格者なら、雇用保険の加入期間に応じて失業手当の給付日数は以下のようになります。
- 1年未満は90日、
- 1年以上5年未満は180日、
- 5年以上10年未満は240日、
- 10年以上20年未満は270日、
- 20年以上は330日
の支給日数となります。
この条件に該当する人が5年以上働いた職場を解雇されたら240日の失業手当を受給できますが、会社が雇用保険に加入していないと2年分しか追納できないので180日しか受給出来なくなります。
こうしたことにならないように、必ず雇用保険料が天引きされているか給与明細で確認してください。天引きされていれば従業員は保険料を納めたことになるので失業手当を受給できます。
天引きされていないと過去2年分しか追納できないので、早急に雇用保険に加入するよう会社に要求してください。
勤め先が雇用保険に加入しているかどうかは、厚生労働省のホームページでも調べることができます。
それでも会社が雇用保険に加入しなければ、労働基準監督署やハローワークに申告してください。